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コミッションは給与か賞与か?

給与・賞与計算
10 /31 2016
先日、私が所属している国際労務研究会の勉強会で、「コミッションは社会保険手続き上、給与扱いか?賞与扱いか?」ということが話題になりました。
コミッションとは、例えば営業担当の人が、売り上げや設定目標の達成度合いに対して所定のパーセンテージで払われる報酬です。(本来は、販売手数料などいろいろな使い方がありますが、そちらについては今回は省略します)

社会保険事務手続きにおいては、年3回以下支給される賞与は、通常の賞与として、一回の支給ごとに賞与の保険料を徴収します。 しかし、年4回以上賞与が支給される場合は、一回の支給ごとに保険料を徴収せず、一年の合計額を12等分した額を、月々の保険料の改定時に基となる給与の額に上乗せして保険料を算出することになります。つまり年3回以下か、年4回以上かで取り扱いが違うことになり、それにより年間にかかる社会保険料も若干変わるため、実は従業員にとっても大切な問題といえます。

ここで問題なのは、夏と冬に支給が決まっている定期賞与などはわかりやすいのですが、それ以外に支給されるインセンティブやらコミッションやらが発生した時に、給与扱いか?賞与扱いか?で迷うことがあるわけです。社会保険労務士やアウトソーシング側は、クライアントから情報を頂いて給与計算・賞与計算をするのですが、その際に「この支払は年3回以下、または4回以上」のような情報を明確に頂けないことも多いです。
その理由は、クライアント側の人事担当者が、社会保険事務のことまで意識していないこともありますが、外資系企業などでは海外本社から詳しい説明もなしに「これ支給して」と金額だけを示されることも多く(しかも英語で)、人事担当者にも判断がつかないことが多いからです。
そういう事情もあり、実は保険料の計算方法が間違っている。。ことも時々あると思います。ただし、そもそも正確な情報が入ってこない事情もありますから、一概にアウトソーシング側や社会保険労務士側の手落ちとも言えません。

なお、コミッションについては、日本年金機構の疑義照会が参考になります。
『毎月、査定されるコミッションがあり、賃金規程には「コミッション」の名称はあるが、支給回数については明記されていない。(そもそも支給されるかどうかも不確定なためと思われる。)』
これについての回答は「賃金規定において 3 月を超える期間ごとに受けるものとされていないため、賞与には該当しない。また、支給事由や支給条件が採用通知及び条件提示書において明示されており、厚生年金保険法第 3 条及び健康保険法第 3 条における「臨時に受けるもの」とも解されない。」(厚生労働省年金局事業管理課回答)したがって、毎月の業績により月ごとに支給される当該コミッションについては、残業手当と同様の考えで月々の報酬に算入する。により取り扱うことになります。(一部省略していますので、ご興味のある方は下記URLをご参照ください)
ただし、コミッションの支払い回数や賃金規定での定義の仕方によっては、勿論判断が変わることになります。

結局のところ、私達(給与・賞与計算や社会保険事務を受託する側)が、法改正や疑義照会、通達などの情報をしっかりキャッチし、クライアントから頂く情報が明確でなければ、こちらから質問し、正しい方向へ持っていくことが大切になります。この辺りは特に、受託側の技量が問われる部分なので、しっかり勉強していかねばと思います。


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ロンドンの京都庭園

海外の写真
10 /30 2016
P1090697.jpg P1090698.jpg 
写真だけ見ると京都だと思ってしまいそうですが、実はこれロンドンにあるHolland Parkという公園の中にある庭園です。高級住宅エリアで、ノッティングヒルからも徒歩圏内です。天気のいい日にお散歩するのにちょうどいいところです♪

個人住民税の特別徴収(給与天引き)推進

給与・賞与計算
10 /28 2016
社労士会から『個人住民税の「特別徴収」推進に係る協力依頼について』という案内メールが来ていました。地方税法では、事業主は全ての従業員について住民税を特別徴収(いわゆる給与天引き)する必要がある、ということを広く周知することが目的のようです。

実際のところ、大部分の会社では、正社員については住民税を特別徴収(給与天引き)していますが、契約社員やアルバイト・パートさんについては普通徴収(個人で納付)にしている会社も多いように見受けられます。
特別徴収(給与天引き)するには、そのための切替手続きもありますし、従業員が退職するときには特別徴収(給与天引き)から普通徴収(個人で納付)などへの切替手続きも発生します。従業員の人数が多いと事務作業も煩雑になりますので、短期の契約で終了する従業員については、最初から普通徴収の扱いにしておく、という会社の意向もわかります。

しかし、今回の「特別徴収」推進のお知らせは、普通徴収(個人で納付)の場合、住民税を延滞する人・払い忘れる人・払わない人も多いということなのでしょう。市区町村の方で督促するのが大変だから、会社の方で徴収してください、ということだと思います。根拠となる法律もあるわけですから、反論の余地もないですが。

しかし、日本は個人の税金に関する手続きを会社に対応させようとする傾向が強いと、改めて思います。年末調整のような制度がある国は珍しいそうですし。まあ会社経由で管理することで徹底できるメリットもありますし、そのおかげで税理士や社会保険労務士の仕事になっている部分もありますので、一概にいいとも悪いとも言えないですが。


たび重なる厚生年金保険料の変更。。

人事労務
10 /27 2016
厚生年金保の料率は毎年9月に変更になります。(給与から控除する社会保険料は前月分としている会社が多いため、実際には10月支給の給与から新しい厚生年金保険料の額に変わることになります。たまに当月分を控除する会社もありますので、その場合は9月の給与から金額が変わります)。

料率変更は毎年のことですが、今年は10月から(つまり給与への反映は11月から)厚生年金保険の標準報酬月額の下限が追加(88,000円)されることにより、同じ給与でも9月と10月の2回、保険料が変わるケースが発生することになります。気を付けないと給与計算処理の際に間違える可能性があります。88,000円の等級に該当する人は全体から見れば少ないでしょうし、最近の給与計算ソフトは優秀なので保険料が自動的にアップデートされたりはしますが、注意するに越したことはありません。

ちなみに社労士は社会保険制度の改正情報などは常にチェックしており、保険料を間違えることは比較的少ないと思うのですが、税理士さんが給与計算をしている場合、保険料改正まではご存じなく、以前の保険料のままでずっと計算している例などが時々見られます。。保険料を間違えたまま年末調整をしてしまい、年を越してしまった場合などは、修正処理も面倒なことになってしまうので要注意です。自分も間違えないように気を付けます。。(-_-)

外国人従業員からの素朴な質問 年金手帳の解約。。

人事労務
10 /26 2016
社会保険労務士をやっていると、クライアントからいろいろな質問を受けます。(社労士に限らず、税理士さんでも弁護士さんでも同じですが)
同様に企業の人事部でも、従業員から様々な質問を受けます。もっともな質問も多いですが、中には予想外な質問もあり、人事部や社労士も、一般従業員にとってわかりやすい情報提供を心掛けないといけないと思わされます。

そのうちの一つ、外国人の男性従業員(インド人)からの質問が今でも忘れられません。

従業員:(奥さんの年金手帳を持ってきて私に差し出す)
私:「???」
従業員:「僕は日本で年金を受け取る予定はないし、保険料がもったいないから、この、妻の年金手帳を解約してください」
私:「???」
従業員:「毎月、妻の保険料が僕の給料から引かれているんでしょ?」
私:「ああ、そういうことですか。日本では扶養家族である奥さんの年金保険料は徴収されませんから、解約する必要はないですよ」
従業員:「うそ」
私:「本当です」
従業員:「本当に?」
私:「本当です。年金事務所に確認していただいても大丈夫ですよ」
従業員:「あなたは英語ができるからいいけど、僕は日本語出来ないから問い合わせできないし」
※ ちなみにこの会話は英語ではなく、日本語です。。
私:「とにかく、奥様が被扶養者でしたら保険料は引かれていませんから、ご安心ください」
従業員:「わかりました」(とさわやかに去っていく。。)

…ということで一見落着(?)したのですが、確かに日本の社会保険制度はわかりづらかったり、情報提供が十分でなかったりするかもしれません。考えてみれば、日本人の奥様でも、自分の保険料は旦那の給料から天引きで払われていると誤解をされている方も時々いらっしゃいますし。
ましてや外国人の方にとっては、言葉のハンデやカルチャーの違いもあり、より理解しづらいことと思います。国税庁や厚生労働省などでも英語のホームページを作ってはいますが、日本語のホームページほどは充実していないですし、自分が逆の立場だったら、これで制度を理解するのは難しいと思います。

英語での便利サイトはこのブログでも今後紹介していきたいと思いますし、英語での問い合わせにも対応いたします。というのが今回のオチでした(^^♪








ストレスチェック

人事労務
10 /25 2016
平成27年12月にストレスチェック制度が施行されてから、もうすぐ一年になります。この制度は、定期的に労働者のストレスの状況の検査を行い、本人にその結果を通知して、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、職場環境の改善につなげる取組です。

そして常時50人以上の労働者を使用する事業者は、ストレスチェックの結果を労働基準監督署長に提出 しなければならないのですが、その最初の期限は平成28年11月30日になります。あと一か月くらいになりましたが、現在届出数はまだ少ないそうです。

ところで従業員側は、ストレスチェックに対し絶対の受検義務はないため、もし嫌だと思えば拒否することもできるようです。
そこで以前私が他のところで健康診断について書き込みしたことを思い出しました。。
「アメリカでは社員全員の健診はありえない。なぜなら会社は従業員の病気を見つけてクビにする可能性があるから、「そのために受けさせたんだろう」と疑われるから。受けたくない人の自由を奪うという意味で権利の侵害になるという意味でも強制の健診はあり得ない。」(AERAの厚切りジェイソンさんの記事より)

健康診断でさえ、こういう風に受け取られるのですから、外国人従業員にとっては、会社からいきなり「ストレスチェックを受けてください」と言われたら、いったい何のことやらと思うことでしょう。ストレス度合いを測ることで会社への忠誠心を確認したり、人事評価にも使うつもり??と思われても無理もないかもしれません。

日本人従業員であれば、日ごろ新聞やニュースなどからストレスチェック制度を耳にしている人も多いでしょうし、決まりだからまあ仕方ないですね、という感じであまり反発もなくストレスチェックを受けてもらえると思います。
ただし外国人従業員の場合、言葉のハンデもありますし、カルチャーも違いますしで、新しい制度を導入する際にはその主旨を十分に説明しないといけないです。そしてストレスチェックは人事評価や昇給・昇格とは一切関係がないということもしっかり伝えないといけないです。

外国人従業員とのコミュニケーションで、私も以前にいろいろな気づきを経験したことがありますが、それはまた別の機会に書くことにします。



12/9(金)少人数制セミナー 海外赴任者の給与・社保

セミナー・執筆
10 /24 2016
税理士の森村先生のご協力で、12/9(金)に無料セミナーを行うことになりました。
このトピックスでは今まで何度かセミナーや講習会を行っておりますが、少人数制でのセミナーは、初めてになります。ですが、参加者からのご質問やご経験談もお話しいただけるインタラクティブ形式ということで、面白い流れになりそうです。
このトピックスでは税務についての質問も多いのですが、税理士の先生が同席しておりますので、その場でご質問もしていただけます。
「赴任前→赴任中→帰任後」の流れで進めますので、これから海外進出する企業は勿論、既に進出されている企業の方にとっても参考になるかと思います。
ご興味のある方、是非ご参加いただけますと幸いです。
20161209 社会保険セミナー【東京】案内 

退職金事情

人事労務
10 /21 2016
週刊ダイヤモンドの「退職金・年金 知りたくなかった禁断の数字 」を読んでみました。どちらかというと退職金運用などのFP向けの記事が多いようですが、企業の退職金格差の記事は社労士として参考になる部分が多いです。

今は大企業でも「退職時給与連動方式」よりも、成果主義の「ポイント制」の方が多くなっているそうです。成果主義の結果、ポイントが積みあがらず、退職金が低く抑えられるサラリーマンが続出しているとか。。成果に伴うものだから、不利益変更とも主張できないわけですね。

また大企業の企業年金の中には、従業員本人が早く亡くなっても、その後20年、家族に支給されるものもあるそうで、さすが充実しているなと感心します。その反面「商社マンは早死にすることが多いため、一時金を多く支給するより、後払いの年金の方が企業にとって得」という笑えない話もあります。

毎月の給与と違って、退職金は必ず支給されないといけない等の法規制はないこともあり、昨今では退職金制度自体がない企業も多いです。退職金制度があっても、金額や内容は企業によりかなり違いますし、退職金の代わりに自社株報酬制度を導入する企業もありますし。
この分野について、もっと勉強してみたいと思っています。



今年の年末調整の注意事項

給与・賞与計算
10 /20 2016
毎年この時期になると、最新版の「年末調整のしかた」が国税庁HPに掲載されます。

今年から通勤費の非課税枠が、月10万→15万円になったのでしたね。適用は平成28年1月からですが、国税庁から正式に発表されたのが4月なので、1~3月分の調整は年末調整で清算することになります。
そもそも月に10万以上もの通勤手当をもらっている人は少ないでしょうが、新幹線通勤をしている人などは該当する場合もあります。
年の途中で退職する人については、確定申告で清算との事です。(忘れてしまう人もいそうな気がします。)

他では、非居住者である親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合には、「親族関係書類」及び「送金関係書類」の提出又は提示が必要になります。
外資系企業や外国人従業員の多い会社では、事務手続きが少々大変になるかもしれません。
私の予想では、この辺り税務調査でチェックされそうな気がしますので、きちんと対応した方がよいでしょうね(国税庁からの指示なので当たり前ですが。。)

あとは、やはりマイナンバーですね。保険料控除申告書(&配偶者特別控除申告書)、住宅ローン控除申告書などはマイナンバーの記載が不要とされています。
国税庁HPからダウンロードできる保険料控除申告書には、マイナンバー記載欄がないので、わざわざ記入する従業員は少ないと思いますが、住宅ローン控除申告書は記載欄があるので記入してしまう従業員もいらっしゃるでしょうね。。
会社側としては、マイナンバーの管理は大変ですから「記入しないでください」と従業員に事前連絡した方がよさそうですね。

それにしても、もう年調の時期とは。一年過ぎるのは早いです。

大学院のMBA講座 科目受講です(^^;

その他
10 /19 2016
私はとある大学院の法学研究科の生徒ですが、希望すれば、同じ大学院のMBAの科目を受講することができます。(修了に必要な単位としての認定はされませんが。)
そういうわけで、この秋からMBAコースの「人材マネジメント」を受講しています。社労士試験では労働法や社会保険の法令の勉強がほとんどでしたし、大学院では今までは法学の勉強が大半でしたので、私にとって新鮮であります。

この「人材マネジメント」の科目では、人事制度や人事戦略などについて、日本型雇用・処遇制度の特色なども含めて理論的に学びます。
例えば、新卒大量採用や役割等級制度など、日本では普通のことでも海外では珍しい等の話は参考になります。ずっと日本に住んでいると、日本の制度が異端であることに意外に気付かなかったりするものです。
後半の授業では、大手企業の人事の方がゲストスピーカーとして参加されたり、国際人事についてのお話など、実務で役立ちそうな内容が多く、今から楽しみにしています。ちなみに授業は日本語で行われます。

生徒さんたちですが、当然ながらMBAコースの受講生がほとんどで、私のように法学研究科の生徒はあまり見られないように思います。
受講生は、見た感じ若い方もいらっしゃいますが、大部分は社会人で、平均年齢は38歳くらいだそうです。







永井知子 / Tomoko Nagai

 特定社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー。青山学院大学大学院 法学研究科修士課程(ビジネスロー)修了。外国人技能実習適正化事業 適正化指導専門家。
 2004年社会保険労務士試験に合格。アウトソーシング会社で10年以上、主に外資系企業の社会・労働保険手続、給与計算、労務管理などを担当。会社員として勤務しながら、雑誌の記事執筆、書籍の出版、セミナー講師などを数多く経験しているが、そのほとんどは会社経由での依頼ではなく、指名での依頼。
 外資系企業・外国人経営者・従業員向けの英語対応、英文雇用契約書・英文就業規則、労務コンサル、人事・評価制度作成、海外赴任規程作成、給料計算、上場を目指す企業の労務監査、確定拠出年金制度の導入サポートなど幅広い業務に対応。
趣味・特技はタロット占い。出張先にもタロットカード持って行きます。